シネマ法話⑥『キューティ•ブロンド』より

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真理の一言は、悪行を転じて善行となす

『教行信証』より

「真理の一言」とは、南無阿弥陀仏のお念仏となって私たちにはたらいて下さる阿弥陀様のはたらきの事です。そして、そのお念仏は、「悪行を転じて善行となす」ということです。    

自分にとって都合の悪いこと、いやなこと、気に食わないこと、避けたいなということ、これはすべて「悪」です。

私たちはその「悪」をたくさん持っています。それをそのまま抱えておくと、愚痴の一生で終わってしまうことが多いのですが、その「悪」が南無阿弥陀仏のお念仏をすることでなくならないし、消えることもありません。ではどうなるかといえば、転じていく、「善」に変えられていくということです。

「善」というのは、大事なこと、大切なこと、実は素晴らしいことだったんだなぁ、ということです。

南無阿弥陀仏のお念仏は、引き受けたくもない自分にとっての「悪」がなくならないけれど、大事なことだったんだな、実はこんなに素晴らしいことだったんだなということに気付かせていただく阿弥陀様のはたらきなんですよと、今回のご讃題は読むことが出来ます。

『キューティ・ブロンド』

2001年制作/アメリカ

監督:ロバート・ルケティック

原作:アマンダ・ブラウン

 大学でファッションを専攻していた主人公エル・ウッズは、上院議員を目指す恋人のワーナーから結婚はしないことを告げられます。ワーナーをあきらめることの出来ないエルは、ワーナーを追いかけ猛勉強の末ロースクールに入学します。ところが入学したものの、エルはワーナーの気持ちを変えることは出来ず苦悩することになります。しかし、それがかえってエルのやる気に火をつけることになり、次第にエルの目的はワーナーを取り戻すことから、一人前の立派な弁護士になることに移っていったのでした。

 本作の中で、エルは最終的に弁護士を目指します。一方、エルに失恋をもたらしたワーナーの存在はそのままで、失恋自体もそのままで、なにも変わってはいません。しかし、進むべき道がはっきりと決まった時、失恋の苦悩が無駄にならず、「きっかけ」として大きな意味を成してきます。「その失恋があったからこそ」という世界が開かれてくるのです。

 私達の日常にも、エルにとっての失恋のような、引き受けたくもない「悪」が沢山あります。その「悪」無くして生きていく事は出来ないと言っても過言ではありません。

 しかし、そういう私たちだからこそ、人生の目的を往生浄土にありと示し、救いを届けよう、支えていこうと阿弥陀様はお誓いを建てられたのだと、阿弥陀様に支えられた人生であることを実感できるのです。

「悪」あればこそ、それを転ずる世界がお念仏によって開かれいく事、そしてご讃題のお言葉を、今回ご紹介する映画を通して味わわせていただいたことです。

 大ヒットしたこの映画は、ブロードウェイのみならず、日本でもミュージカル化されました。映画の続編として、2003年に『キューティ・ブロンド/ハッピーMAX』公開、そして2009年に『キューティ・ブロンド3』が制作されました。本作のことを最近テレビで見かけたのですが、「3月に見たくなる映画」として紹介されていました。20年以上経っても人々の心に春のシーズンを彷彿とさせる魅力いっぱいの映画『キューティブロンド』を、是非ご覧ください。

(合掌)


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